政治情報

実務家のための政治情報

外国とビジネスをする人間は、その国の政治についていくばくかの知識を持っている方が望ましいです。一国の政府が行う様々な公共政策を知るということだけでなく、政治は、その国の在り様、国を構成する人々や、その人々の集まりである企業の考え方や行動を体現するものだからです。この「政治情報」のコーナーでは、フランスでビジネスをする人に役立つ、フランスの政治情報、政治をめぐる言論を皆様に紹介いたします。


フィガロ論説記事(要約)

Le Figaro, Agnès Verdier-Molinié, 2024/11/20
「チェーンソーで破壊される欧州自動車産業」

「今、欧州連合が動き、欧州の自動車業界を破壊してしまう様々な規則を放棄しないのであれば、原子力分野で起きたように、今日の盲目的な判断がもたらす結果に、将来泣きを見る羽目になるだろう。IFRAPのディレクター、アニエス・ヴェルディエ・モリニエ氏はこう語る。

フランスでは、2023年10月から新車販売台数は10パーセント減少。電気自動車部門では18%の減少でマーケットの見通しは極めて暗い。さらに、米国は、トランプ大統領が誕生し、欧州からの自動車の輸入に10%の関税をかけると言っている。

欧州連合は、2035年には内燃機関による新車の自動車販売を禁止するという極めて非現実的な規則を定めている。このルールは、米国や中国よりも厳しく、米国は1932年までに電気自動車の販売が主体となるように目標を定め、中国ではハイブリットの販売も許容しているにも関わらずである。

欧州の自動車産業は極めて厳しい状況に置かれている。金属関連産業調査団体(L’Observatoire de la métallurgie)によれば、自動車サプライチェーンを構成する35万人の雇用のうち18.6%、6万5千人の雇用が、2030年までに失われる危険があるとしている。この数値は、1935年の内燃機関による新車自動車販売禁止が決定される前の話である。

このような状況にも関わらず、欧州連合は、CO2の排出を抑制するため、2025年から電気自動車の販売割合が低いメーカーに総額50億~150億€のペナルティーを科す方針を維持している。メーカーは、ペナルティーを回避するためには、電気自動車の販売を促進するか、あるいは、内燃機関による自動車の販売数を削減するしかない。

しかし、現実問題としては、自動車メーカーも、社会的インフラも、消費者も準備ができていない。欧州自動車メーカーは、電気自動車関連技術で中国や米国の後塵を拝し、社会的インフラの整備も追いつかず、消費者も、価格や使い勝手の悪さなどからニーズが低迷している。

欧州経済と、産業の国際競争上の我々の独立性が侵されようとしているのである。今、自動車産業をめぐる様々な政策方針を抜本的に変更すべきである。